研究概要 |
小貝川破堤氾濫時の住民行動についてアンケート調査を実施した. その結果次のことが示された. 過去に経験した最大の浸水位がその人の危険意識を決定し, さらに経験回数によって危険意識は変化する. 危険意識は状況判断階の行動を規定する. とくに気象警報や河川実験の入手に関係する. また状況判断から準備段階への移行時の災害規模の正確な予測に関して, 中規模(床上0〜50cm)の浸水経験者は事態を安全側に評価する. 準備段階での行動評価指標として被害軽減度を定量化した. 被害軽減度はその時の浸水位と負の相関が認められた. すなわち, 浸水位が高ければ被害軽減行動は困難になる. 浸水位に対する標準的な軽減度と実際の軽減度の差を有効軽減度と定義し, 住民行動の評価基準の1つとした. 有効軽減度は, 準備段階移行期における事態の正確な判断に関係する. また, 準備段階における近隣関係にも強く支配される. 近隣関係における情報の交換・判断の確認などの相談行動, 水片づけや避難の援助協力関係が有効軽減度に大きく関係する. 以上防災力に関係する要因として, 危険意識, 過去最高浸水位, 水害経験回数, 近隣関係における相談度・協力度が挙げられる.
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