研究分担者 |
巽 紘一 京都大学, 医学部, 助教授 (30131022)
池永 満生 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (70025378)
坂口 文吾 九州大学, 農学部, 教授 (30038161)
綾木 歳一 長崎大学, 医学部, 助手 (70039577)
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
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研究概要 |
遺伝的背景がよくわかっている標準的生物種としてマウス, ショウジョウバエ, カイコ, メダカを用いて, 種々の作用原に曝露された個体の次の世代に現われる奇形, 生殖細胞・体細胞突然変異, 発生異常の作用量-効果関係を調べると共に, ヒト・リンパ球での薬剤耐性突然変異とDNAのRFLPをも検索した. ショウジョウバエでは, 劣性翅毛形態突然変異遺伝子を用いた体細胞突然変異検出系を開発した. これを用いて, 餌に添加した変異原摂取量と突然変異頻度との間に直接関係があることを確認した. カイコについては, 雌蛹にダイオキシンを注射し, 産卵率と孵化率を調べた. その結果, 産卵率はダイオキシン濃度の増大につれて低下したが, 孵化率はほとんど不変であり, 2つの指標に対して異なる作用機能を持つことが示唆された. 生殖細胞突然変異を特定座位法で検出するために, 3ないし5標識を持つテスターをメダカで開発した. この検出系の感度をマウスでのそれと比較するために, 野生型雄をガンマー線照射し約30万標識について線量-効果関係を調べたところ, マウスで報告されている結果とほぼ同等であることが判明した. またマウスでは仔マウスで奇形と体細胞突然変異を同時に検出できる系を開発し, 尾の奇形誘発については閾値の存在を明らかにし, 一方経胎盤的アルコール投与による中枢神経系での急性障害の指標として, 大脳脳空帯における核濃縮像の頻度が使えることがわかった. ヒト細胞については, 修復欠損株に大腸菌由来修復遺伝子を導入し, 致死及び突然変異感受性の顕著な低下を認めた. アミノ酸加熱分解物由来ヘテロザイクリックアミンは, 修復欠損遺伝病患者由来細胞に高頻度に薬剤耐性突然変異を誘発すること, 広島在住日本人集団について10種のDNA領域でRFLPが検出できることなども, 今年度得られた新たな知見である.
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