研究分担者 |
楠田 哲也 九州大学, 工学部, 教授 (50037967)
坂本 充 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助教授 (30022536)
津野 洋 京都大学, 工学部, 助教授 (40026315)
松本 聡 東京大学, 農学部, 助教授 (20032295)
岩坪 五郎 京都大学, 農学部, 助教授 (00026395)
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研究概要 |
本研究は, 土壌環境や水環境の有する自然浄化機能を構造的に的確に把握し, 汚濁物の変化過程を定量化し, その機能を評価し, 環境悪化を改善, 復旧するとともに, 長期的にみて, 快適な人間生活を確保するうえでの, 人間活動と自然とのあり方を水質環境保全の観点から検索することを目的としている. この目的を達成するため, 「自然浄化脳」の概念の把握, および森林農地土壌, 河川, 湖沼, 感潮域, 海域各々での自然浄化能を定量化する実験並びに考察を行った. まず, 自然浄化能の概念の把握では既存のデータベースからキーワードに「自浄作用」を含む文献を選出し, 従来の研究で対象とされた「浄化能力」の範囲を明らかにした. 一方, 森林のもつ浄化機能の定量的把握では, 滋賀県東南部竜山山麓にある約30年生のスギ林で実験調査を, 土壌農地の自然浄化機能の定量化では, 野外設置の実験プロットでのCO2発生量の調査及び有機物添加土壌の室内実験を, さらに湖沼における有機物の自然浄化機構では14Cをトレーサーとする実験及び小型エンクロージャーによる実験を行い, 自然水域各場における有機物・栄養塩・生物の相互の関わりとそれに関与する各反応の定式化の基礎情報を得た. さらに河川においては, その自然浄化機構を明らかにするため, 文献整理を進め, 河川における自然浄化の体系化と定量化手法の確立を試みるとともに, その酸素吸収能の定量的評価のため, 堰落ち流れの模擬装置で, 酸素吸収速度の測定とその速度式定式化を行った. また, 感潮河川における自浄作用把握のため, 佐賀県白石平野の六角川を対象とする現地観測と懸濁物質・底泥の硝化実験さらに硝化のシミュレーションモデルによる数値計算を行い, その窒素の挙動を明らかとした. さらに海域に関しては東京湾域を対象として, 栄養塩及び有機物の動態と浄化作用を, 収集整理した情報をもとに現在及び過去における物質収支計算から検討した.
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