研究概要 |
気体状有機ハロゲン化合物の接触燃焼処理プロセスを開発する目的で, 有機ハロゲン化合物のモデルとして1.2-ジクロルエタンを用い触媒としての各種金属酸化物の燃焼活性を検討した. 通常の燃焼触媒である遷移金属酸化物と塩基性酸化物および固体酸触媒の3つのグループに触媒を分類した. 遷移金属を用いた場合, 燃焼活性は高く完全酸化物である二酸化炭素の収率は高かったが塩素分は分子状塩素にまで酸化された. 塩素分子は活性が高く, 反応中に有害な二次生成物を生じる可能性があり, したがって燃焼活性の高い遷移金属触媒を有機ハロゲン化合物燃焼処理の第一段階で使用することは好ましくない. 酸化カルシウムや酸化カルシウム一酸化マグネシウム等の塩基性物質およびシリカアルミナやチタニヤシリカ等の酸触媒では二酸化炭素収率は低いがジクロルエタンは完全ん分解され, 塩素分は活性の低い塩化水素へと変換されることが認められた. これらの触媒はその酸塩基性質のために燃焼触媒としてよりはハロゲン化合物の分解剤として働くことがわかった. 反応中に生成する無機塩素によって多くの金属酸化物は塩素化された. 特に塩基性酸化物は無機塩素分を高率よく塩素化により吸収することが認められ, これら塩基性酸化物を反応条件下における無機塩素吸収剤として使用出来ることがわかった. 遷移金属塩は塩素化により燃焼活性が低下し触媒の被毒が著しかった. 酸触媒であるシリカアルミナは全く塩素化を受けず, そのためジクロルエタンの分解活性は長時間にわたり維持された. 以上のことより有機ハロゲン化合物の燃焼処理においては, まず第一段階で酸触媒によりハロゲン化合物を炭素質と除去に容易なハロゲン化水素へと分解し, 第二段階においてハロゲン化水素を塩基性酸化物により吸収固定化し, 最終段階において残存する不完全燃焼生成物を燃焼活性の高い遷移金属塩触媒で処理する多段式処理法が適切であると結論された.
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