研究概要 |
大阪市内の52件(事務所37件, 共同住宅15件)をとりあげ, 現地調査と図面分析を行った. 設計スタイル別, 建物用途別, 緩和項目別に, グループを区別し, 景観, 空地利用, 周辺とのリンクの3つの側面から公開空地を評価してみた. 景観にはデザイン・レイアウト(建築物, 植栽), 開放感(日照, 空地面積, 建ペイ率), 管理状態(放置自転車類, 植栽・噴水など, 床面・タイル), 利用には入り易さ(レベル差, 開口部, 道路との接し方, 歩行障害物), 人寄せ効果(建築位置, 一般用店舗, 敷地面積), 憩い空間(ベンチ類, ベンチ類のレイアウト, ベンチ・床面積の清掃, 噴水・彫刻類), リンクには(街区内の位置関係, 他の建築物との関係, 街路樹・公園との関係)の小項目をとりあげた. 数名の専門家によるウェイトづけをおこなったうえで, 公開空地の類型別平均値を比較することにより, その類型別の特性と問題点を明らかにした. 完全歩道型は景観形成にはあまり貢献していないが, 歩道が未整備の地区では歓迎されている. 敷地面積が大きい場合には公共場型が好まれる形成で分離広場型は, 公園が少ない地区また敷地が不整形に効果が大きく, 広場付歩道型, 歩道修景型のうちでは, 利用上の側面からみると広場付歩道型の方が適している. 他方, 入居者広場型は閉鎖的性格を持ち, 一般には利用されにくく景観形成にも貢献しない. また完全修景型は植栽中心であるため景観形成には役立つが, 人が入りにくいため直接利用面の価値は低い. 公開空地の診断表をもとに, その問題点の検討をおこない, オープン・スペースを創出・活用するための総合設計制度の推進の方策についてまとめた. さらに, 都市環境におけるオープン・スペース整備を視野にいれて, 付随的空地の役割を環境指標の抗生を論じた.
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