研究概要 |
高密度生活空間における環境質計測法の確立の一環として, 昭和62年度は近年各都市に建設されている地下街を対象に, 温熱環境因子と各種電気汚染成分の多元調査を行った. 高密度空間の密度状態を把握するため通行人数の調査を行い, 気温, ふく射温度, 湿度および気流速度からなる温熱環境因子の測定を行った. その際温熱環境因子分析装置の開発と適用試験を試みた. 空気汚染成分としては, 一酸化炭素, 二酸化炭素, 浮遊粒子状物質の一般的な成分, ラドンおよびラドン娘核種の放射能, 浮遊細菌, 浮遊真菌の特別な成分を測定した. 測定方法は従来の方法に基づいているが, ラドンおよびラドン娘核種については, 簡便なフィルター法を用い, 研究室の過去4年間の測定データから予測した推定式を用いている. 昭和62年7月25日〜同26日の多元測定結果は次のとおりである. 空気調和システム作動中の汚染物質濃度は, 各成分とも比較的低レベルであり, 問題は少なかった. その中で, 通行人数のピーク時間帯に二酸化炭素が1150〔ppm〕に達し, 空調時における平均濃度が837〔ppm〕に達することが問題である. 従来の評価指標である二酸化炭素のみが高濃度を示したことにある. また, 浮遊真菌濃度の外気導 入口の値が地下街歩行路よりも大きく, 外気導入口で最大1888個/m^3を示したことは, 今後の課題として残された. 温熱環境に関しては, 非常に良好な環境でなることが分かった. また新しく開発した多次元温熱環境因子の分析装置は, 現場測定に適していることが明らかになった. 昭和63年度においては, 住宅内の環境を多元測定し, 地下街等の都市施設の環境と比較しながら, 環境評価について検討を加える計画である.
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