研究概要 |
建築・都市域の音環境に関し, 時間的・空間的な偏在性・メリハリ度とその性状などを評価基準とする新しい視点からの音環境制御計画体系の構築を意図して, 以下の研究を行った. 時間領域処理に関する基本的検討:一般に物理的刺激と感覚的応答との間には対数関係があり, また, 時間変動刺激に対する全体的評価は時々刻々の評価量に記憶重み関数をかけて畳み込み積分した値になると考えて評価量の定式化を行い, 聴感実験との対応を検討した. 空間領域処理に関する基本的検討:地上の騒音源からの空間的伝搬拡散音の都市居住空間における評価量として, 面積的ウエイトをつけた平均値, 容積的ウエイトをつけた平均値, さらに, 人間の中での空間的な意識の重みが自分から音源までの距離の逆数の対数に比例するとした代表値などを定式化し, 実測データに適用して, その特徴を検討した. 時空的総合評価に関する検討:時空的な全体評価を個人のレベルで考える場合は, ある空間のある時点の騒音に対する評価量(空間の属性, 時刻, 個人の条件等の影響を受ける)をその空間における滞在時間確率によってウエイト付して合成する. そして, 時空的な全体評価を都市環境として行う場合は, そこに住むすべての人間について合成する. 具体的には微視的な視点・数十m以下のメッシュ測点のデータから, 個々の評価量を求め, 居住域のスケール・数百m程度のゾーンに対して, 空間毎の環境期待値と存在確率から, 平均値とばらつきを表すパラメータ(自乗和でなく期待値との差を+側と-側にわけて別々に和をとる)を算出した. 上記のような評価モデルによって, 都市環境騒音の既往のデータを再整理して各種の評価量を算出し, アンケート等の評価データとの対応を検討している.
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