研究概要 |
近年, 人体が外部磁場にさらされる機会が急増し, 人体に対する磁場の影響が問題となってきている. そこでその基礎研究として,ヒト細胞増殖と光化学反応に対する外部磁場効果を検討した. 1.HeLa S3細胞の塩殖に対する磁場効果 ヒトがん細胞の増殖に対する磁場効果を検討した. 永久磁石の組み合わせにより定常磁場0.2Tと交流磁場(0.1T, 30Hz)を発生した. ヒトがん細胞HeLa S3を37°Cの培養室内で約1週間増殖し, その間の細胞数を計数したが, 定常磁場・交流磁場いずれも有意な差異は認められなかった. 次にX線照射との協同作用について検討した. 定常磁場下づX線照射後磁場中で細胞増殖を行った. コロニー形成・増殖曲線には有意な効果はみられなかったが, セルサイクルをしらべたところX線を照射した系ではセルサイクルに異常が認められた. その原因について今後更に検討の予定である. 2.光化学反応に対する磁場効果 SDSミセル水溶液中のキノキザリン, キサントン, クロモン等の光誘起水素引抜き反応に対する磁場効果をレーザー〓光法等により研究した. いずれの場合も反応中間作の寿命, 収量が磁場により増大, 反応中間作のラジカル対の三重項-一重項項間交差が磁場により仰制されることが明らかとなった.
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