研究概要 |
スクリーン型拡散法を用いて, 大気中のラドン娘核種によってできている放射性エアロゾルの粒径分布測定法を開発してきた. 今年度は, 装置の捕種部と計測部共に2系統増設(計測部の1系統は他からの転用)して, 従来の4系統から6系統とした. これにより, 試料サンプリング時間を従来の150分から90分へと60分短縮することができ, また計測時間も含めた全測定時間では, 3時間から2時間系に短縮することができた. 時々刻々を変動する環境試料を測定する場合, この時間短縮は極めて重要である. 本装置を用いて, 一般住宅, 研究室, 屋外など, 通常の生活環境で実測を行い, ほぼ満足なデータを得た. 測定特の放射濃度は1.6〜10.9pq/m_3(平衡仮定ラドン娘核濃度)の範囲で, その放射性エアロゾルの粒子半径は0.07〜0.29μm幾何評準偏差は1.2〜3.4に分散していた. また, その分布の形状は対数正規分布か, またはそれに近いものであった. 測定時刻, 場所により粒径, 幾何評準偏差に若干の違いが見られたが, 詳しい検討は現在進行中である. 今後の課題として, 実測の精度の向上をはかること, より信頼度の高いデータを得るための検討をすること, 解析法を検討すること, さらに多くのデータを集積し生活環境での放射性エアロゾルの特性を知ること, これらのデータを基に, ヒトの肺への沈着量ならびに綜量への寄与を評価していくことがある.
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