研究概要 |
上水の塩素処理はトリハロメタン等の発ガン性物質を生成するおそれがある. そこでオゾン添加と紫外線照射を併用し, 強力な酸化剤であるOHラジカルを発生させ, 水溶性の有機物質を酸化除去する. ただし, 紫外線及びオゾンはエネルギー源として電力を用いるため, プロセスのランニングコストを低減しなければならず, また, オゾンと紫外線を併用するプロセスの特性は殆ど分かっていない. 本研究では, まず紫外線の照射によるオゾンの分解損失速度を測定し, 紫外線の照射方法を考察する. 次いでトリハロメタン前駆物質のオゾン処理によるトリハロメタン生成能の変化を調べるとともに, 分子量の低下速度及び分子構造の変化との関係を明らかにする. さらに, オゾン吸収量及び紫外線照射量とトリハロメタン前駆物質の除去速度との関係を調べ, 各酸化段階における最適な酸化条件を明らかにし, 装置設計と運転条件の最適化を計る. 本年度は以下の成果を得た. (1)紫外線によるオゾンの気相中の自己分解速度を測定し, 従来求めてある水中のオゾンの自己分解速度を考慮して, 紫外線の量も適当な照射法を明らかにした. (2)化学的な構造が明確なトリハロメタン前駆物質をオゾン/紫外線で酸化処理した. 塩素処理によるトリハロメタン及び類似物質の生成量と生成速度が, このオゾン/紫外線併用酸化によってどのように変化するかを明らかにした. (3)フミン質をオゾン/紫外線照射反応装置で酸化分解し, 生成物の分布を調べた. なお, 反応速度に及ぼす紫外線照射強度の影響を定量的に評価するため, 新しい型の実験装置を開発した. 酸化分解の各段階で反応を停止し, 脱オゾンした後, 有機物を塩素化することにより, トリハロメタン生成速度を測定した. この結果, 紫外線の照射が極めて有効であることが示された.
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