研究概要 |
本研究は, 小規模装置内に好気域と嫌気域とを設け, 両者の間で汚泥を循環させることにより窒素とリンを同時に連続除去するプロセスの確立を目指したものである. 本年度は処理装置として二重管型気泡塔および二槽型上向流式活性汚泥法を選び, 脱窒・脱リン過程の速度解析および装置の流動特性解析を行うと共に, モデル廃水を用いた操作を行って処理特性を求めた. 1.窒素およびリン除去過程の解析 (1)窒素除去速度の解析 十分に汚泥が分散されている状態下で, 硝化および脱窒過程は0次反応と見なせた. 一方汚泥がフロックを形成した場合の挙動は, フロック内での物質移動を考慮した解析により説明出来た. また同一汚泥内で硝化および脱窒が同時に進行する場合について, 好気域と嫌気域を設定したモデルにより解析を行い総括速度式を導いた. (2)リン除去速度の解析 非曝気と曝気を交互に行う回分操作において, 非曝気操作におけるリン放出量とCOD取り込み量の間, およびリン放出量との取込量の間にはそれぞれ良好な相関が得られた. 曝気あるいは非曝気開始後のリン放出速度と取り込み速度の間には1.2-2.4倍の相関が得られた. 2.処理装置における物質移動および流動特性 活性汚泥懸濁液を含む二重管型気泡塔における液循環流量, ガスホールドアップおよび酸素移動容量係数は, いずれも空気線速度の0.6乗および見かけ粘度の-0.21乗に比例した. 3.二重管型気泡塔および上向流式活性汚泥法による連続処理操作 好気域と嫌気域との設定(体積比)を適切に行うことにより, 連続的に安定した窒素除去率が得られた. 空気流量および循環流量の増加は装置内を好気的にするため, 脱窒率が低下して窒素除去率も抑えられた. リンに関しては, 上向流式活性汚泥法の方が高い除去率を示した. これは汚泥が好気域および嫌気域に滞在する時間が長いためと推測された. 両反応器のモデル化を行い, シミュレーションをを試みた.
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