研究分担者 |
渡辺 良久 京都大学, 工学部, 教授 (70025956)
八嶋 建明 東京工業大学, 理学部, 助教授 (60016409)
藤本 薫 東京大学, 工学部, 助教授 (30011026)
乾 智行 京都大学, 工学部, 教授 (60025989)
菊地 英一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063734)
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研究概要 |
石炭を輸送機関用液体燃料に変換する方法には直接法と間接法がある. 本研究班は間接法に関する研究を推進するものであるが, 間接法とは, 石炭をまず部分酸化して合成ガスに変換した後, 触媒を用いて合成ガスから炭素水素系またはアルコールなどの含酸素化合物系の液体燃料に変換する方法をいう. 間接法は直接法に比べて反応工程の数は多いように見えるが, 最終製品がほとんどで不純物を含まず, また各種の内燃機関が要求する品質特性を与えられる可能性がある. この間接法の総合効率を向上するために, 石炭のガス化から始まる一連の各工程において用いられるべき活性, 選択性の優れた触媒の開発を行った. 本年度の研究成果の大要は次の通りである. 富永博夫, KCIで修飾したシリカゲルにモリブデンを担持することによりC_1-C_5混合アルコール合成触媒が得られた. アルコールのSTYは400g/kg-cat h を超え, しかも選択率を70%以上とすることができた. 西山誼行, 種々の2成分系触媒による石炭の水蒸気ガス化について活性と生成組成を調べ特にNa+Ca触媒は比較的高濃度のCO_2とH_2の共存下でも活性が高く, 合成ガス製造に有利であることを見出した. 渡部良久, 希土類化合物が種々の石炭のCO_2ガス化, 水蒸気ガス化反応に高い触媒活性を示すことが見出された. 藤元 薫, 超臨界状態のヘキサンを反応媒体としF-T合成反応を実施した. その結果, 良好な温度制御下で速やかに物質拡散が進行し, 生成物は気-固相反応に近い分布を示した. 菊地英一, スラリー床式液相F-T合成に高活性な超微粒子触媒の調整ならびに修飾方法について検討を行ない, 塩化コバルトの水溶液を水素化ホウ素カリウムで液相還元して得た超微粒子で鉄系触媒の3倍近い高い炭化水素空時収率を得た. 八嶋建明, ブタンを芳香族炭化水素へと転化する触媒の研究を行なった. Fe-シリケートを合成し, 芳香族生成の選択性が非常に高いことを見出した. 芳香族が生成する段階は, むしろ弱い固体酸点において有効に促進されることを明らかにした. 乾智行, ペンタシル型のFe-シリケートおよびPt担持メタロシリケートをそれぞれ開発した. 前者はC_2〜C_4オレフィンをほとんど定量的に高オクタン価ガソリンに変換し, 後者はプロパンを70%の選択率で芳香族に変換する.
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