研究概要 |
木材・竹・バガスの主体であるリグノセルロースを酵素・酵母により液体燃料に変換するときに必要な前処理法がどのようなメカニズムによりリグノセルロースを活性化するのかを明らかにすることを目的とした. 〔1〕マイクロ波照射によるリグノセルース前処理(越島哲夫):マイクロ波過熱により生成する細孔の大いさと量の変化が190°C以上で著しく, 特に35〜110〓径の細孔量の増大がリグノセルロースの活性化をもたらし, セルラーゼにるよ糖化率と直接関連をもつことを明らかにした. この大いさは酵素セルラーゼの直径に略相当する. 〔2〕遺伝子工学的に育種された担子菌による脱リグニン(桑原正章)÷Phanerachaete chysosporiuinをUV照射し, 高濃度チッ素存在下でもリグニン分解酵素ペルオキシダーゼを生産する変異株MA-4を誘導した. この株を親株酵素と異るアイソザイムを生産した. また, リグニンペルオキシダーゼ遺伝子を親株の染色体DNAからクローニングレその塩基配列を決定した. 〔3〕爆砕によるリグノセルロース前処理(沢田達郎):爆砕のリグノセルロースに与える効果を明らかにするため, カラマツとユーカリにつき, 蒸気圧と分離される木材成分量, 蒸気圧とアルコール生成量の関係をしらべた. つぎに省エネルギー型爆砕装置のため, 蒸煮によるチップ温度と含水量の変化を検討した結果, チップ蒸煮中の熱と水分の同時移動が明らかになった. 〔4〕加溶媒分解による脱リグニンとリグニンの液体燃料化(笹谷宜志):木材主要成分の省エネルギー的分別法を種々の有機溶媒-水系を用いる加溶媒分解法により検討した. クレゾール・水(7:3), n-プロビルアルコール・水系では180°Cで80-96%の脱リグニンがみられた. 有機スルホン酸を少量加えると脱リグニン温度を低下させ, 酢酢・水(9:1)では常圧脱リグニンが可能となった.
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