研究概要 |
北海道焼尻島にかける養殖漁業用熱源として, 海洋エネルギーを利用する場合を具体例として研究した. ここでは漁業資源が枯渇化に向い, 大幅な人口減少が続いている. 離島に課せられた世界共通の問題でもある. 今回のテーマはこうした問題の解決を目的としている. 焼尻島で試行中の養殖漁業を調査し, 必要とするエネルギーに関する情報資料を収集整理した. これをベースとして最大出力100KWの波力発電設備により, エネルギー供給を行う場合について検討した. これは年間10万匹のひらめを養殖するに十分なエネルギーである. 焼尻島沿岸の波浪エネルギーの推算を行った結果, 冬期5KW/mの水準であることを明らかにした. 沿岸固定形振り子式波力発電システムを用いて, 5KW/m級の海面で運転する場合の構想設計を実施した. 1000KW発電には, ケーソン長250m, 振り子30基を用い, 100KW発電機10台をく駆動する. これらの建設費は, ケーソン=15億円, システム設備=5億円,合計20億円である. 金利=6%, 稼動率(波浪出現率)=20%とすれば, 発電単価=98円/KWHとなる. 発電単価を下げるには, 専用ケーソンではなく防波堤を利用すること, 稼動率を高めることが必要であり, 実用化レベルも可能になる. 以上の検討の基礎になるものとして, 下記の研究を平行して行った. (1)ケーソンの設置場所がケーソンの構造およびコストに及ぼす影響 (2)振り子式波力発電システムの最適化に関する研究 (3)ヒートポンプシステムの非定常運転に関する実験的研究 (4)波力発電システム用油圧シリンダの最適構造に関する試作研究 (5)振り子式波力発電システムにおける台風対策
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