研究概要 |
1.水平蒸発管内で気液二相が環状流の流動様式になっている場合について, 単一成分冷媒に十分な精度で適用できる熱伝達予測式をR22-R114混合冷媒に適用して, 物性値の変化のみを考慮した組成による熱伝達係数の変化を推定した結果, R22の質量分率が40%程度までは組成による熱伝達係数の変化は小さく, これ以上の質量分率では質量分率が増すほど熱伝達係数は大きくなり, R22単一成分の値に近づくことがわかった. 2.R22-R114混合冷媒および各単一成分冷媒で得た実験データを上述の熱伝達予測式による値と比較検討した結果, 二成分非共沸混合冷媒の水平蒸発管内熱伝達においては, 一般に成分冷媒の拡散抵抗のために伝熱が悪くなるが, これは特に核沸騰が伝熱に寄与していると考えられる領域で顕著であることがわかった. 3.水平蒸発管内の二成分混合冷媒では, 他の条件が同じであっても組成が異なると周平均の伝熱特性に大きい影響を及ぼす気液二相の流動様式が違ってくる場合があること, 更に, 分離流における伝熱に寄与する液でぬらされた部分の面積比が組成によって異なってくることを実験により明らかにし, 二成分混合冷媒の伝熱特性を予測するためには, 拡散抵抗のほかに, これらの差異も考慮する必要があることを指摘した. 4.一様に加熱された円管内を高流量で流れる二成分非共沸混合冷媒の蒸発熱伝達を理論的に解析するために, 気液環状二相流の液膜流と蒸気コア流に対して, 質量, 運動量, 熱量および低沸点成分の質量それぞれの保存を考慮した詳細なモデルを作成した. このモデルを用いてR22-R114混合冷媒および各単一成分冷媒について計算した結果, 蒸気流中には濃度分布が幾分認められるものの, 熱伝達に及ぼす成分冷媒の拡散の影響は小さいことがわかった.
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