研究概要 |
電力系統の連係拡充がなされ, また将来超電導電力機器やそのシステム化が検討されるなか事故限流器の役割は大きく, その適用は重要となるが, これに超電導技術を利用した限流遮断器(以下, SFCLと略す)の開発を目的としているが, まず, (1) 全体計画を推進するに当たり, 主装置となるFRPクライオスタット並びにSFCLの磁気回路を構成するアモルファス・カットコアを設計・製作し, 所期の性能を確認した. (2) SFCL用超電導線の調査・製作を行った. 交流損失の小さい, 常電導転移時の抵抗が大きい超電導線材が必要であるが, これには, Cuマトリックスのない, CuNiバリアのみの複合極細多芯線が有望であり, この種の線材を数種製作した. 一方, 高温酸化物超電導物質の常電導時の抵抗率は金属系より2桁程度大きいことが分かり, これに注目してそのバルクをサンプル製作し, 直流磁場特性, 交流磁場応答特性, 交流輸送電流特性を調べた. 超一常転移は電流又は弱磁場で容易に行なえ, 磁気に感心した限流器や磁気スイッチ, 磁場バルブなどの機能素子として可能性があることが分った. (3) 超電導線を電力回路に直列に挿入するSFCLでは, 無誘導の抵抗体とする必要がある. 最適な無誘導巻き方式を検討するため3種類の模擬コイルを作製し, 残留リアクタンスが最小になる方式を比較した. また, 更に無誘導抵抗を設計するための有限要素法による磁界解析を進め, 模擬コイルの実験値と良い一致をみた. 次に, 超電導線による無誘導抵抗を作る巻枠の準備に取りかかった. (4) 他の2種類のSFCLは変圧器構成のものであり, その基本回路となる四巻線変圧器の磁気設計を行なうべく有限要素法による解析を進め, 入力電圧を入力とした場合の過渡時の磁束挙動について一部結果をえた. これをもとに更に, 限流器の最適設計を導くことが可能であって, 解析の第一段階を終了した.
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