研究概要 |
1.カルコパイライトの格子ひずみと電子構造. ABX_2型カルコパイライトの結晶構造は, Xを中心とし2Aと2Bを頂点とする歪んだ四面体ユニットにより成り(R_<RX>≠R_<BX>), アニオン変位パラメーターuは, C/a=ηの関数として, u=1/2-1/4(2η^2-1)によって方えられる. 高圧下のCuGaS_2のX線回析実験から, 圧力の増加に従って僅かながらC/a比の減少を示し, 従ってuとηの関係式から, uは圧力により増加すると考えられる. 東京理科大工(入江研)で作成されたCUInX_2の試料に対して, XPS, UPS, E_2スペクトルの測定を行った. その結果として, Cu3d-XP反結合バンド, In-X結合バンド, Xsバンド, In4dバンドの価電子状態密度および価電子バンドから伝導バンドのSe5P, In5P, cu4P準位への光学遷移が明らかにされた. 2.Cd_<1-x>M_<nx>Teの発光強度の温度依存性. 混晶の発光強度は, 温度の増加に従って対数的減少を示す. 強度Iと温度Tの関係は, (I/I_o)-1=Ae^<-(TITP)>によって方えられる. この関係式はギァップ状態として移動度端Eeとガウス分布の局在状態の存在を假定することによって導かれ, 光励起に生成された電子-正孔対の輻射再結合と非輻射再結合の競合により, 温度の増加に従って後者の対数的増加することによると考えられる. 東北大科研(岡研)で作成されたCd_<1-x>M_<nx>Teに対して, 発光強度の温度変化を測定し, AとT_oを決定した. 3.ウルツ鉱の格子ひずみと格子振動. AX型ウルツ鉱の結晶構造は, 歪んだ四面体ユニット(AX_4)より成り, アニオン変位パラメーターuは, 格子パラメーター(C)に対するC軸に平行なボンド長さ(〓_2)の比として定義される. 他の三つのボンド長(〓_1)は互いに等しいが, 〓_1≠〓_2である. 高圧下のZnOのX線回析実験から, 圧力の増加に従って, C/a比が減少し, 従ってuが増加すると考えられる. 名大工(赤崎研)で作成されたGaN/AL_2O_3のラマン散乱を測定し, A_1, E_1, E_2モードの振動数を決定した.
|