研究概要 |
本年度は当重点領域研究としては初年度であるので, 組織作りと, 将来計画, 実験準備に費したグループもいるが, 前から関連のある研究を行なっているものはめざましい進展がみられた. 堂山は分子線エピタキシー装置, スパッタリング装置の導入により, 磁性薄膜の研究の準備をし, これと同時に高温超伝導の平衡, 非平衡のプロセスによる性質の違いを研究した. 主な内容はBa_2YCu_3O_<7-X>において炉冷, 空冷, 熱平衡による結晶構造の変化と遷移温度が格子定数b/a, C/aに関することを認め, その関係を得ている. またメスバウアー効果を用いたFe^<3+>, Fe^<4+>の混合状態があることを認めた. Bi-Sr-Ca-Cu-O系の高温超伝導体において結晶構造をきめ, マイスナー効果, 電気抵抗, 正ミューオン測定を行った. 小泉らはNbN系超伝導窒化セラミックスの自己燃焼合成を行なった. 反応律速過程の活性化エネルギーとして290KJ/molを得た. Tcは15K, 銅を加えた試料で17.5Kであった. Mo-Nb-N系の固溶体薄膜も合成し, Tcとして13Kを得ている. 若槻らはダイヤモンドとBNのウルツ鉱対応相の変換機構や速度論的特徴を明らかにした. また黒鉛/ダイモンド平衡圧の精密測定を行なっている. この他C/BN固溶体を高圧下のパルス加熱により得ることができた. これらは将来の高温絶縁体, 半導体材料として有望視されている. 今井はN-シリル化ジアミンを用いるポリアミドの合成-成形法により, 半屈曲性構造のポリイミドと剛直鎖棒状構造をポリイミドを組合わせ, ランダムおよびブロック共重合体を合成し, 成形加工して得られるポリイミド共重合体フィルムについて特性表評価を行なった. これにより大幅な高性能フィルムが得られる見通しを得た.
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