研究概要 |
CdZnTeSSe系II VII族半導体は発光デバイス材料として有望であるがイオン性が強いため良質の物質が得にくく, その作製方法と物質構造設計の検討と開発は重要な課題である. 本研究は青色を中心とした発光ダイナード材料を開発するために, ホットウオール法を用いZnSe-ZnSSe(A;格子不整合0〜4.5%), ZnTe-ZnSe(B;7.5%), CdS-ZnS(C;7.5%)の歪み超格子をGaAs基板上に作製し, その物性を解明した. Aに関しては良質なZnSxSe1-x(X【less than or equal】0.5)混晶薄膜の作製が可能となった. 更にP型不純物としてLiをZnSe薄膜及び超格子のZnSe層に添加した結果, 超格子では多量の添加にもかかわらず, 周期構造破壊されず, Liの表面等への移動は阻止され, 更に通常みられる深い不純物中心を介した発光はLこの添加と共に抑制されることが判明した. Bに関してはバッファ層の導入等により, 格子歪が大きいにもかかわらず, 良質の超格子が作製可能となった. これはX線回折, ラマン散乱測定によって確かめられた. 又フォトルミネッセンス測定において始めて鋭いバンド端発光を観測し, そのピコ秒分折の結果減衰時間は2nSecであった. このことはB超格子はタイプI′構造であることを支持すると共に, 超格子界面での欠陥は発光を抑制するような準位として作用しないことを示唆している. 又As, Liの不純物も添加可能となった. C超格子に関してはX線回折, ラマン散乱により超格子構造と歪みを評価した. 又この超格子は格子不整合が7.5%あり, 超格子の周期性はあまり良好でないが, フォトルミネッセンス測定において, 室温でも非常に強いバンド端発光がみられる,又深い不純物中心による発光は非常に抑制されていることが分った. 以上の結果より, ホットウォール法はこれら薄膜又は超格子を作製するのに適すると共に,これらの歪み超格子は発光材料として非常に期待されることが判明した.
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