研究概要 |
金カプセル内にBPとCrO^3をジルコニウム隔離板を介して配置し, ベルト型高圧装置を用いて, 6GPa, 1100°Cで6時間超高圧酸化反応を行ないダイヤモンド類似型B_2Oを合成した. 生成物はダイヤモンド構造に特微的な6-8面体や4面体形態で, 約100hmの結晶で超高圧酸化反応はBPのトポタクチック反応でB_2Oに変換されたと考えられる. 粉末X線回折と電子線回折より, 空間群P_3の三方晶系に属し, 格子定数はa=0.2879, c=0.7052nm, 測定密度は2.48g/cm^3でz=2と決まった. 結晶の対称性が立方晶系より低下するのは, ダイヤモンド構造の原子位置に2つのホウ素と1つの酸素原子が統計的に分布するためで, B-OとB-Bの結合からなる6員環を構造中に形成しているものと考えられる. B-OとB-Bの平均結合間距離は0.1763nmと求まり, B-N10.157nm)とB-P(0.197nm)の結合距離の中間にあり, 本研究で全く新しく, 酸化物でダイヤモンド型構造をもつB_2Oが超高圧合成法で合成できた. ダイヤモンド型B_2O粉末を6GPa, 1000°Cで30分高圧焼結反応で焼結体にし, 種々の物性測定を行った. 焼結体の相対密度は92%で, 室温ビッカス硬度は約40GPa, 電気的性質は半導体で抵抗率は室温で約80Ωcm, 抵抗率の温度変化より求めた活性化エネルギーは約0.3evであった. ダイヤモンド型B_2Oは空気中1200°Cまで熱的に安定で, 通常の酸に対しても優れた耐食性を示す. 本研究で合成したダイヤモンド類似型B_2Oは半導体でバンドギャップは0.3evと小さく, Pなどの不純物を含有しているものと考えられ, 光学的性質や光・電気変換機能評価には高純度B_2Oの超高圧合成が今後の検討課題である. AiP, GaP, InPを出発原料としてCrO_3を用いた超高圧酸化反応を3〜6GPa, 800〜1300°Cで行なったが, 現在ダイヤモンド類似型M_2Oの合成に成功していない. これらの物質について, 合成条件の検討が今後の課題である.
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