研究概要 |
今年度は, 無機, 有機複合微粒子の作製に関する基礎的な研究を行うと共に, 機能性材料の開発に密接に関連する濃厚分散系のorder構造形成やレオロジー的性質について検討を行い次の結果を得た. 1)無機-有機複合微粒子の調製は両材質界面の親和性をいかに高めるかの問題に尽きる. 今年度はあらかじめ電荷の符号が異なる無機粒子と有機粒子を単独に作製し, その後両者をヘテロ凝集させる方法について検討を行い, 大型のsio_2(粒子)2a=1〜2μm)両性ラテックス(2a=100〜300nm)を互いに異符号電荷の条件(pH5〜7)で混合すると, 大型sio_2粒子がラテックスで万遍なく覆われた複合体が形成されることを見い出した. また, この際の複合化には成分粒子の表面電荷の他に, 両粒子の粒子径比ア粒子数比が重要な役割を演ずることが解った. 2)温度変化で誘起されるミクロスフェアーのorder形成について, 特に試料を急冷した場合のスペクトルの経鳴変化を調べて, order構造の形成過程の機構を検討としした. その結果急冷下での構造形成は粒子自身が冷却面へ熱拡散して, 冷却部での粒子濃度が増大するためであることが解った. 3)従来, DepLetion効果は非吸着性高分子が分散系に溶存しているときに生ずる効果であったが, 本研究ではコロイド粒子に強い吸着性を示すHydroxy propyl cellulose(HPC)をその下限臨界共溶温度(約50°C)で吸着させたポリスチレンラテックスを用いてDepletion効果の検討を行った. その結果, 低ずり速度の場合, あるHPC濃度で明らかにDepletion効果に基づく粘度の増大が観察された. これは高分子が吸着であってもDepletion凝集を起こすことを示すものであり, この効果が今までより広範囲で生ずることを示すものである.
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