研究概要 |
1 多糖の構造制御合成とそれを利用した両親媒性ブロック共重合体の合成 (1)3(e), 4(a)-ビス(ベンジルオキシ)-6, 8-ジオキサビシクロ〔3.2.1〕オクタンの開環重合を適切な条件下で行うことにより, 4-デオキシー(1→6)-α-DL-タボピラナンと4-デオキシー(1→6)-β-リボピラナンとを作り分けることに成功した. (2)1, 6-アンヒドロー2, 3, 4-トリーO-ベンジルーβ-D-グルコースの開環重合により, 還元性末端に反応性塩素を有する(1→6)-α-D-グルカン誘導体を合成した. これを高分子開始剤として用いて, 6, 8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタンを重合したのち保護基をはずし, 親水性の(1→6)-α-D-グルカンと疎水性の多糖骨格構造とから成る両親媒性ブロック共重合体を得た. 2 糖質重合体の構造制御合成とその細胞培養材料としての応用 (1)芳香環にクラフトースを導入したスチレンの重合体を合成し, その肝細胞接着特性を詳細に調べた. コラーゲンやフィブロネクチンなどの生体材料と比較して, ラクトース置換スチレン重合体の場合には, 肝細胞の脱吸着を温和な条件で容易に制御できるので, 肝細胞の保存・運搬用の材料としての応用が可能になった. (2)分子認識マーカとして機能するガラクトース糖鎖を側鎖にもつポリペプチドと分枝多糖を合成した. 前者はポリグルタミン酸活性化エステルへの高分子反応, 後者は無水糖誘導体の開環重合によって得た. また, 隣接基関与による立体制御を応用して無水糖誘導体の開環重合を行い, (1→6)-β-D-ガラクトピラナンを合成した.
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