研究概要 |
韓国・台湾の高度成長をもたらしてきた制度的・組織的枠組の有効性を明らかにすることは, アジア開発途上国の経済開発のための教訓的示唆を得るという問題意識に応えること大である, というのがわれわれの問題意識である. 韓国・台湾の経済発展において「官」の役割はいちじるしく大きく・経済官僚組織の有効性に関する研究がまずなされなければならない. また韓国・台湾の財閥, 中小企業と大企業との効率的連携の例にみられるごとく産業組織・企業経営組織における有効性を究明することも大きな重要性をもつ. 本年度において明らかにしようと試みた課題は次の三つであった. 1)韓国・台湾の官僚制度が経済発展を有効に導きえたメカニズムは何か. 2)韓国・台湾の産業組織・企業経営組織が経済発展を牽引したメカニズムは何か. 3)韓国・台湾における官民の制度的・組織的枠組と儒教の伝統文化とはどのように関連するのか. これら課題の究明を試みるべく, 本年度においては研究代表者・研究分担者の間でできるだけ多くの機会をつくって討論し内外の研究者を招いてその研究成果の吸収に努めた. 同時に上記目的に資する内外の研究調査資料の可能なかぎりの収集を試みた. さらにこれに並行して若干のマクロ経済分析を進めた. 中川は韓国・台湾の官僚制度と経済発展との関連を分析し, 川喜多は韓国・台湾の企業経営組織・労使関係と経済発展き関係について, 深川は経済政策の有効性について, 栗林は, 産業組織と経済発展の関連についての分析を試みた. 渡辺は以上の研究を総括し, 韓国・台湾の経済発展戦略についての吟味を試みるという努力を行った.
|