研究概要 |
本年度は研究初年度なので, 分担者はそれぞれ資料蒐集・文献研究にあたることにした. まず, 安場はバンコックとソウルに出張し, 両国とも経済発展を続けるにふさわしい教育・研究活動を行っていることを見出した. とくに韓国では教育のみならず研究開発も盛んで今後も産業の高度化をはかっていくものと思われる. 初中等教育は産業労働者に求められるディシプリン植えつけた. タイでも科学技術教育は次第に充実しつつあるが, 企業の研究開発は一部を除いてまだ盛んではない. ただし, 今後の課題がここにあることは意識されている. 香西は中国への旅行を通じて消費財・投資材の相対価格が近年著しく変っていることを見出した. 消費の統計は良いものがあるが, 投資財については生産性の統計から推計する予定である. 南も中国へ出張したが, 技術伝達の条件として, 第1に機械を造り改造して行く能力, 第2に研究開発の努力, 第3に有効な競争が存在し, インセンティブあることが必要だという見地からするならば, 中国では最初の二点についてはかなり進歩している. ただし, 第3のインセンティブについては国家が全部これをやっているために遅れている. 今後の発達のためにはこの点の改善が必要だというのが南の結論である. 猪口は文献調査を通じて, (1)発展途上国では民主主義よりも発展主義を重視する傾向があること(2)従来の代理戦争は不況代理戦争にとって代られ, 多くの国が武器輸出を通じて景気の維持をはかろうとしていることを見出した. 最後に小浪は中国を対象としてトータルアプローチによるモデルを構築することを試みている研究はまだ中途であっていろいろな社会指標を探している段階だが, モデルとしてはパーソンズやマックレランドなどの社会学的モデルを応用するのが有望なように見える.
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