研究概要 |
弱い, 分子間相互作用によって形成される分子間錯体あるいはクラスターを生成・分離し, それらの構造と動的過程を解明することを目的とする. 本年度の各分担者の実績は以下の通りである. (1) 伊藤光男: 誘導放出分光法により, m-フルオロトルエンとアルゴンのvan der waals錯体の分子内振動緩和を研究し, 錯体形成によって緩和過程が著しく促進されることを見いだした. (2) 伊藤道也: フルオレンと種々の置換ベンゼン類のvan der waals錯体を研究し, 励起電子状態においてvan der waals錯体からエクサイプレックスが生成する過程について研究した. (3) 茅幸二: レーザー蒸発法を用いてアルミニウムクラスターを生成し, その反応性について研究した. 種々のサイズのアルミニウムクラスターが酸素と反応したとき, Al_9O_7の酸化物が選択的に生成することを発見した. (4) 近藤保: 高励起リュードベリ原子からの電子移動によって水, アンモニアなどの分子クラスター負イオンを生成し, 電子付着と負イオン生成過程について同位体効果を中心に詳細に検討した. (5) 梶本興亜: ベンゾニトリルの二量体を超高速ジェット中で生成し, 増感りん光励起分光法により一重項一三重項間の項間交差を研究した. その結果, 二量体の形成により項間交差効率が著しく増加することを見いだした.
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