研究概要 |
下記の5課題につき, 当初の計画どおり研究を遂行し, 以下のように所定の研究実績を得た. 〔第1課題(蟻川)〕:光CVDなど応用面から強い要請のある有機金属化合物の反素応過程について調べた. 特に, ある特定の反応過程のみを選択的に行なわせることを試みる観点から, 励起状態, 超励起状態の対称性や寿命, 及びそれらの励起状態からの複雑な分解過程を詳しく調べた. 〔第2課題(金子)〕:現有のイオンエネルギー損失分光装置を改良して分解能70meVを達成し, (1)Ar^<2+>, Ne^<2+>と希ガスの衝突による微細構造間遷移, スピン非保存遷移, 準安定状態間遷移の断面積, (2)Ne^<2+>-Xe, N_2間1電子移行反応による生成イオンのエネルギー利得スペクトルの測定など, ほぼ全反応Channelに関して始・終状態を識別することができた. 〔第3課題(桑田)〕:既設の配向分子線発生装置を用い, 配向したCF_3H分子と準安定励起Ar原子との反応で生成するCF_3の化学発光の観測により反応確率の配向依存性を検討した, 現在, 配向NH_3分子類と準安定励起Ar原子との反応を検討している. また, 配向分子線とイオンビーム及び電子ビームとの反応を研究する目的で無電場配向分子線反応装置の試作を行なった. 〔第4課題(佐藤)〕:衝突相互作用をしている原子・分子系の光誘起衝突過程の例として(a)Ba-Ba衝突に際して1光子を吸収することにより二つのBa原子が励起される対吸収過程のスペクトルを観測し, フック法によりその光吸収断面積の絶対値を決めた. また(b)Sr-Xe混合系においても多くの衝突誘起光吸収過程を観測した. 「第5課題(島村)〕:R行列法を用いてe+H_2^+散乱を計算し, その共鳴からH_2(^1Σg^+)の超励起状態のエネルギーと準位幅を求め, 分子については初めての超励起Rydberg系列を見出した.
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