研究概要 |
研究代表者および分担研究者ごとにそれぞれお代表的な研究の実績概要を記す. 1.(志田)(1)ポリエンのラジカルイオンのケイ光検出に成功しラジカルイオンの電子励起状態の緩和過程について知見を得た. (2)ベンゼンカチオンとエチレンとの間で「ベテロダイマーカチオン」が形成されることを見出し, これを光励起すると最終的にオクタテトラエンカチオンになる事実とその素過程を明らかにした. 2.(広田)(1)分子内水素結合をもつ分子の三重頃状態のESRを研究しプロトン移動の機構を検討した. (2)アルコール中のアセトンの光水素引抜き反応を時間分解ESR法で調べ, ラジカル対の検出とその低温におけるESRスペクトルの線形解析を行った. 3.(籏野)(1)パルスラジオリシス・マイクロ波空洞法により高密度ガス中での電子の熱平衡化速度を調べVander Waols分子の関与を明らかにした. (2)電子・イオン再結合過程の速度を測定し, CH4などの系でDebye-Onsager理論が破綻することを見出しその原因の解明を試みた. 4.(鷲田)(1)CD_3OHのクラスターを光イオン化したときの分子間プロトン移動反応を研究し, プロトン付加アルコールクラスターの生成においていわゆるマジックナンバーが存在することを見出しその意味について考察した. (2)上記(1)の系において分子間を移動するプロトンがC-H結合由来か, O-H結合由来かについて検討し, 両者の寄与がクラスターのサイズによって変化することを見出した. 本研究課題は本年度は分担研究者, 広田に重点的に研究費を配分したがその内容は主として時間分解ESR用エキシマー色素レーザーの装置で次年度以降この装置を用いて研究推進をはかる.
|