研究概要 |
光路長20mまでの可変多重反射セルを設置した. これは実長1m, 内積30lであり, 従来のセル(20cm, 0.5l)では蒸気圧が低く, セル壁面との衝突で寿命が短かくなり測定が困難であった分子の分光が可能になった. またインジウム・アンチモン検出器とフッ化カルシウム・ビームスプリッタの組み合わせで, 1850〜6000cm^<-1>の範囲の赤外分光が感度良く実行できるようになった. 光源にタングステン・ランプを用いることで, さらに12000cm^<-1>までの近赤外分光が可能になる予定である. 今年度は主に前記の長光路セルを用い, 従来不可能であった短寿命・低濃度の分子の検出・同定に主力をそそいだ. 現在, ジメチルシアミドとエチレンシアンヒドリンの熱分解からそれぞれ生成するはずのN-シアノメタンイミンとケテンイミンの検出・同定の実験を行なっている. また, N-ハロゲン化したプロピレンイミン及びN-メチルプロパルギルアミンから生成する未知分子を確定する実験も進行中である. これらは生成物としては別種のものであるが, 熱分解反応機構としては共通性もあるので, 統一的な認識が可能になると思われる. 現段階では主に反応生成物の吸収分光による解析を行なっているが, 前記近赤外測定系を利用し, 熱分解発光スペクトルをも測定すべく, 光学系の設計も進行中である. ^<15>NO_2分子については, D_2, D_3バンドの解析が終了したので, D_1バンドおよび結合バンドについての測定と解析をする予定である. これらは吸収係数が小さかったので, 充分なS/N比での測定ができなかったが, 新設の長光路セルで可能となったものである.
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