研究概要 |
ピコ秒レーザーホトリシス及びピコ秒パルスラジオリシスによる短寿命活性種の過渡吸収スペクトルを精度良く測定し, 短寿命活性種の挙動を追求することを目的とした. 設備備品として購入したイメージインテンシファイヤーを従来から使用しているマルチチャネルホトダイオードアレイと接続し, 高感度マルチチャネルアナライザーシステムを試作した. この検出器をピコ秒モードロックNd^<3+>ガラスレーザーと組み合わせ, ピコ秒ガラスレーザーホトリシスシステムを完成させた. このシステムの性能は次の通りである. (1)ピコ秒Nd^<3+>ガラスレーザーからの単一パルスのパルス幅は6〜10psであり, 数ピコ秒の時間分解能を持つ測定が可能である. (2)基本光の出力エネルギーは, 100〜200mJであり, 励起光として第二, 第三及び第四高調波が使用可能である. 又, 繰り返し発振が可能であるため, 積算することにより過渡吸収のS/N比が飛躍的に向上する. (3)検出器にイメージインテンシファイヤーを取付けたことにより, 微弱なモニター光でも測定可能である. (4)励起光及びモニター光強度のゆらぎ等のため, 一台の検出器による高精度ピコ秒過渡吸収スペクトルの測定は不充分である. 即ち, 二台の検出器によるダブルビーム分光法が必要である. (5)ナノ秒オーダーの分光においては, イメージインテンシファイヤーとゲート回路を組み合わせることにより, 一台の検出器でも高精度のスペクトルが得られることが判明した. (5)ピコ秒パルスラジオリシスの場合は, 励起源であるライナックは高精度で繰り返し運転ができる. 従って, 一台の検出器でも満足のゆくスペクトル測定が可能である.
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