研究概要 |
1.Na_2分子のA^1Σ+^^+__u状態とb^3π_u状態間の摂動と, それのスペクトル線の強度とスペクトル線形に対する影響に関する研究を行なった. ドプラー効果によるスペクトル線の広がりが生じない様な偏光飽和分光法を活用し, A^1Σ+^^+__u(u=8)←X^1Σ+^^+__u(u=0)遷移に帰属されるスペクトルを同定した. J=1〜10において, 著しく強度の滅少とスペクトル線の分裂(微細構造)が見出された. 微細構造が観測されたのは, A^1Σ+^^+__u状態とb^3π_u状態との間の摂動によりA^1Σ+^^+__u状態にb^3π_u状態が混合したことを明確に示すものである. 遷移強度は励起状態に^1Σ+^^+__u状態の混合の割合がどの位あるかに依存して決ること. スペクトル線の分裂の大きさは^3π_u状態の混合がどの位あるかに依存して決ること. を明確にし, 観測結果より状態混合の割合を求めることが出来た. 2.Cs_2分子のD^1Σ_u状態, C^1π_u状態の前期解離と非断熱相互作用に関する研究を行なった. 励起状態C^1π_uとD^1Σ_uが近接しており吸収帯が重なっている. このため従来の方法では分離出来なかったが, 我々は分光器で検知する発光波長を選択し, 波長連続掃引可能なシングルモードレーザーを用いて励起スペクトルを測定することにより, D^1Σ+^^+__uとC^1π_uを分離して検知することに成功した. これによりD^1Σ+^^+__u状態の精度の高い分光定数を決定すると共に, RKR法でポテンシャルエネルギー曲線を求めた. さらにD^1Σ+^^+__u状態^1cC^1π_u状態は, 核間距離5.85〓, エネルギー16700cm^<-1>でポテンシャルエネルギー曲線が交差していることが明確になった.
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