研究概要 |
一般に有機金属化合物(RM)とα位に不斉中心をもつキラルアルデヒドとの反応ではCram(又はFelkin)体が優先して生成する(eg-1). 通常, Cram体とan+i-Cram体の比は4:1から1.5:1程度である. ところが, 驚くべきことにクプラート・クラウン反応剤ではan+i-Cram体が優先して生成することを見い出した. (eg2). また, RLi・クラウンやRMgX・クラウン反応剤では逆に, Cram体の生成比が著しく増大することが判明した(eg3). 従って, 従来からよく利用されている入手可能な有機金属反応剤に, 単にクラウンを加えるだけでCram体及びan+i-Cram体をある程度作り分けることができる. もし, クラウンの効果が上で述べたようにM^+を取り込むことであれば, 他の方法で裸のアニオン及び裸のクプレートを発生させても同様な立体化学的挙動を示すはずである. 次式に示すようにテトラアルキルアンモニウム塩を用いて, "Naked"anion(1)および"Naked"cup-ra+e(2)を発生させたところ, 1はCram体選択性を増大させ, 2はan+i-Cram体を優先的に生成した. 従って, クラウンの効果は当初予想した様にM^+を取り込む作用に効いていることが明白となった.
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