研究分担者 |
中山 正敏 九州大学, 教養部, 教授 (70012375)
寺倉 清之 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40028212)
張 紀久夫 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (60013489)
金森 順次郎 大阪大学, 理学部, 教授 (10028079)
興地 斐男 大阪大学, 工学部, 教授 (20029002)
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研究概要 |
本年度の研究活動は, 三つのグループに分けられる. 第一は特定の表面系に対してその構造, 物性を研究して, 表面系の物理を引き出そうとするもので, (1a)銅, ニッケル, アルミニウムなどの金属表面及びシリコンなどの半導体表面に吸着したカリウム, ナトリウム, などのアルカリ原子吸着系, (1b)シリコン, ゲルマニウムの(111)表面再構成の短距離秩序の問題, (1c)シリコン(111)7×7表面の電子構造に関連した問題, (1d)ガリウム砒素(110)表面でのコアホール分光, (1e)一酸化炭素吸着金属表面での電子フォノン相互作用, (1f)クラスターの電子構造, (1g)水素吸着タングステン(100)表面の再構成, などである. 第二のものは表面統計力学, 動的過程の一般論で, (2a)正方格子, 三角格子上の二種の吸着子, (2b)電界脱離, 走査トンネル顕微鏡(STM)の理論, (2c)金属表面吸着子の摩擦係数, (2d)荷電粒子のエネルギー散逸, (2e)金属表面での励起ヘリウム原子のスピン動力学などで, 第三は低エネルギー及び反射高エネルギー電子回析の解析プログラムのライブラリー化である. 全体としてそれぞれ興味ある満足できる結果を得ている. その幾つかについて述べると, (1a)ではこれらの表面で希薄吸着しているアルカリ原子がイオン化しているという伝統的な描像に基づいて, シリコン(100)表面でのアルカリ原子の電荷移動についてのモデル計算がなされ, 短距離秩序の重要性が指摘された(中山, 分担者名以下同じ), 更に金属表面吸着アルカリ原子を持つ双極子の斥力に基づく短距離秩序が定量的に調べられた(吉森), またイオン化しているというよりは金属結合に近い状態にあるとする理論的提案がなされている(寺岡), (1b)では実験で得られる散漫散乱のパターンが格子ガス模型の計算機実験で説明できること(金森), (2c)ではニューンズ・アンダーソン模型を用い摩擦力の磁場依存性が厳密に得られること(興地)などが示された.
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