研究概要 |
半導体表面の構造および電子状態をレーザー分光により研究する事を目的として, Si(111)表面に対し, QスイッチNd:YAGレーザーの高出力光パルス(波長1.06μm, 繰り返し10Hz, 時間巾2.5ns, 最大250mJ)を当て, 第二次高調波(SHG)を観測した. Si結晶は反転対称性をもっており, バルクではSHG禁制であるので, 発生するSHGは表面敏感で, その偏光性は, 表面構造を反映したものとなる. 表面構造を観測するレーザー分光法の最大の特長は, 超高速時間分解が可能で, 表面の構造変化のダイナミックスが測定できるという点である. しかしながら, SHG発生の効率は低く, Si表面の損傷の閾値24mJ/mm^2(〜10^<17>フォトン/mm^2)以下の光強度に対しては, 10^3フォトン程度の微弱なSHG光の放出が予想される. 従って, 計測系に対する要請としては, 迷光を防ぎながら, 計数効率を最大限上げる必要がある. この為, 通常のラマン散乱の実験に用いられる, ダブル(トリプル)分光器, 冷却された光電子増倍管, およびフォトンカウンティング法を用いた. この結果, 200パルスのレーザーショットの積算き結果, 83カウント程度のSHG信号の検出が, S/N比10程度で可能になった. 現在, 試料表面に対する偏光特性を調べている.
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