研究概要 |
低エネルギーのイオンが固体の表面近傍で鏡像電荷の効果によってある領域にトラップされ, 雲状のイオンガスを作っている状態を表面イオン雲と呼ぶことにする. この表面イオン雲の存在条件を理論的に研究し, それに基いてその存在を確める実験を行った. 実験はしては, イオン散乱分光法をイオンの入射角を表面から測って小さな角度にとる方法で行った. 予備的な実験として, Ptの表面近傍に(約1000°Cに加熱)K+イオンの雲を作ることを試み, イオン雲の存在を示唆する結果を得た. しかし, 今後なお研究を続行して表面イオン雲の存在を確実に示す結果を得る必要がある. 理論的には, 表面イオン雲の存在条件の研究の過程で, イオンの運動エネルギーが数百eVあっても, その軌道は表面近傍で鏡像電荷の効果によって1〜2°の角度だけ影響を受けること, そしてしたがってイオンと表面原子との相互作用ポテンシャルの形を実験的に解析する場合, その効果を考慮する必要のあることが分った.
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