研究分担者 |
長島 秀樹 理化学研究所, 海洋物理研究室, 研究員 (10087570)
久保田 雅久 東海大学, 海洋部, 助教授 (90147124)
木村 竜治 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20013576)
竹内 謙介 北海道大学, 理学部, 助教授 (00107450)
今里 哲久 京都大学, 理学部, 助教授 (40025391)
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研究概要 |
比較的限られた深層流に関する実測資料を有効に利用し, 従来から提起されている深層循環像を直接検証し, より正しい深層循環像のモデルを築くことを目的としているが, 本年度は種々の可能な方法の比較検討を行ない, 幾つかの方法を選定して基本的なモデルの設定・計算スキームの作成あるいは実験手段の確立に重点を置いた研究を行なってきた. しかし若干のテストランの結果からも幾つかの興味ある結果をすでに得ている. 用いた手法は大別して, 深層流の力学を解明するための力学モデルの開発, 限られた資料から全体の深層循環を推定するための診断モデルの開発, 深層循環を支配すると考えられる物理機構の特性を明確にするための回転水槽実験の3つに分けられる. 最初のものについては. フィリッピン海盆を対象としてその南西部からの流入によりどのような循環が生じるかの数値モデル実験と, 北太平洋のほぼ全域を対象としての熱塩対流と中規模渦をも組み入れた数値実験をおこなってきている. 特に後者についてはすでに40Kmメッシュの計算まで進み渦のエネルギーに数十日および2年の周期振動が見られるなど幾つかの興味ある結果を得ている. 第二の手法としては, 地形の効果や物理的な束縛条件の下で限られた測流値全体の流速場を推測する試みと, 水温塩分の観測場から流速場を診断的に求める試みを, 前者についてはフィリピン海盆を対象に, 後者については南北太平洋全域を対象に行ない1〜2の結果を得ている. 水槽実験では回転場における高密度水の沈降現象に焦点をあて, スロープを流下する場合と水平な海底に沿う拡がりに分けて行なっている. 沈降・拡がりは地球自転の効果によりいちじるしく抑制されるが, ようやく実験手法も確立され回転や密度差に対する依存性など幾つかの定量的結果が得られ始めている. 次年度以降はこれらをさらに発展させることを考えている.
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