研究概要 |
木星以遠の巨大惑星, すなわち木星 土星 天王星 海王星と地球型惑星とは本質的に異なる特異な存在となっている. すなわち, これらの惑星は, ほぼ太陽と同時の物質構造をもち, 太陽が地球型惑星をひきいているのと同等な形で多数からなる衛星群をしたがえておりミニ太陽系を形成していて, これらの巨大惑星は太陽とともに太陽系の骨格をきずいている. ここで, 巨大惑星の誕生の時期はいつであったか, 巨大惑星生成のメカニズムはいかにあったかは, 46億年をさかのぼる太陽系形成過程の理解に重要かつ不可避の問題となっている. 本研究はこれらの問題の解明を目的とし, 巨大惑星の現状を観測することにより, その誕生のドラマの手がかりをつかむとともに, 現在の太陽-惑星系における電磁過程について観測の事実にもとづいてそれを一般化し, コンピューターシミュレーションを駆使して, 力学過程, 電磁過程の両面から巨大惑星の生成過程を追跡するため, 1.電波による巨大惑星プラズマ状態の探査, 2.巨大惑星磁気圏プラズマのシミュレーション, 3.生成過程に於ける電磁プロセスのシミュレーション, 4.生成過程に於ける力学プロセスのシミュレーション, 5.金属水素の物性と巨大惑星の内部構造, の5つの課題に焦点を置いて研究を実施した. 特に, 本年度はこれらの研究の初年度として各研究の準備を着実に進めた. すなわち, シミュレーションでは, 巨大惑星の生成のプロセスを追跡する, 計算機プログラムを開発し, その運用の準備が, 進められている. 観測では目的に沿って, 高精度分解能の干渉計が完成した他, 木星内部の物質構造については, 数値理論により, 超高圧超高温下での金属水素の特性を明確にする計算法が確立した.
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