研究概要 |
1.大気起源への希ガスからの制約条件 a)ダイヤモンド(小嶋):ダイヤモンドに含まれる希ガスが, 地球初期の状態を忠実に反映しているか否か, まず確かめる必要がある. このため, (i)ダイヤモンドからの希ガス拡散係数の測定, (ii)ダイヤモンドの年代測定を行った. (i)において, He, Arの拡散係数として, 1300°CにおいてDHe=10^<-16>〜10^<-18>Cm^2/S, およびDAr=10^<-15>〜10^<-21>Cm^2/Sの値を求めた. この結果は, ダイヤモンド中のHe, Arが, ダイヤモンドの生成条件(T〜1300°C)下で, 10^9年以上, ほぼ完全に希ガスを保持し得ることを示唆している. 一方, ザイール産キュービックダイヤモンドに^<40>Ar〜^<39>Ar年代測定を試みた結果, 60億年という"異常な"年代が求まった. 来年度は, さらに多くの試料を用い, この驚くべき結果をさらに検証していきたい. b)レーザーソースによるXeの質量分析(高岡):今年度はレーザーソースの基本概念設計を行いレーザー源としてN_2レーザーと色素レーザーを組合せたものを用いることに決定, 装置を発注し年度内に引渡しを受け, 明年度から本格的実験に取りかかる. 2.初期惑星大気の構造 a)衝突脱ガス大気の構造(松井):微惑星の衝突で出来た, 水蒸気を主とした大気はやがて凝縮し海洋をつくり, 大気は次第にCO_2を主とした大気に移行する. CO_2がその後大気-海洋-固体地球間でどのような地球化学サイクルを行うかを数値計算により追跡した結果, 大陸の形成がCO_2分圧の決定的ファクターになることをつきとめた. b)遺伝子情報と原始大気(清水):原始地球大気の化石を求め, このなかから生じた生命情報を解析し原始大気の化学反応から生じ易い生体物質の化石の有無を検討した. 3.惑星大気の進化(森山):大陸移動と地球大気系の関連を調べた. この結果地球上の氷河の発達は大陸移動によりトリガーされる可能性の高いことが結論出来た.
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