研究概要 |
本研究ではまず, 常温常圧下で気体状の試料を約千気圧まで加圧し, ダイヤモンドアンビルの試料室に封入する装置を製作した. アルゴンを用いて試験運転を行ったところ, X線回折実験や各種の光学測定等を行なうのに充分な量の試料をダイヤモンドアンビルの高圧室に封入することができ, 封入した試料をさらに室温で加圧して行くと約1万気圧で固化する事が観察された. さらにこの状態で, 試料室中に封入したルビー結晶にレーザー光を照射することにより, 試料を部分的に加熱し, 融解を起こしてその様子を顕微鏡に取り付けたテレビカメラにより詳細に観察することができた. 上記の加熱方法では, 試料が不均一に加熱され定量的な測定は困難なため, 新たに抵抗線ヒーターを用いた, より均一で温度変化や安定度を精密に制御できるダイヤモンドアンビル用加熱装置を開発した. 本研究における備品費は, 先に述べた顕微鏡用のテレビカメラと, 加熱装置用の精密制御, 安定化電源の購入に当てられた. また高圧下における融解曲線や状態方程式を定量的に測定するために, 迅速顕微分光装置のソフトウエアを改良し, 数秒ごとにダイヤモンドアンビル試料室内の圧力を測定できるようにしつつある. 熱電対により測定される温度の情報とあわせることにより, 計画通り, 一定容積下における各種の試料のP-T関係が求められることになり, 高圧下の相平衡関係や状態方程式を求めるめどが立てられた. 今後はされらの実験技術を総合して, 当初に目的とした木星型惑星を形成すると考えられる, 水素, ヘリウム, アンモニア, メタン等の高温高圧下の相平衡関係と状態方程式を明らかにしていく予定である.
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