研究概要 |
1.拡散係数測定用試料の合成. オケルマナイト(Ca_2MgSi_2O_7)Co-オケルマナイト(Ca_2CoSi_2O_7), ゲーレナイト(Ca_2Al_2SiO_7)及び補正試料としてかんらん石(Mg_2SiO_4)単結晶を合成した. 2.相互拡散係数の測定. オケルマナイト(Ak)とCo-オケルマナイト(CoAk)対, 及びAkとゲーレナイト(Gh)対を用いて主成分元素の拡散係数を測定した. Ak-CoAk対ではCo-Mgが1:1で, Ak-Gh対ではAlAl-MgSiが2:2で置換する相互拡散であることが明らかとなった. 3.トレーサー拡散係数の測定. 放射性同位体, ^<63>Ni, ^<60>Co, ^<59>Fe, ^<54>Mn, ^<45>Ca, ^<85>Sr, ^<133>BaをトレーサーとしてAk中の拡散係数を測定した. 拡散の活性化エネルギーはNi, Co, Fe, Mnで200〜300Kj/mo1であるのに対し, Ca, Si, Buでは300〜400Kj/mo1と大きな値を示した. 又, Coトレーサー拡散係数はAk中のCo-Mg相互拡散係数と良く一致していた. 4.まとめ. Ak中でのAlイオンの拡散は2価陽イオンのそれと比べ2桁以上小さく拡散の影響が小さい. 2価陽イオンの拡散は, 100pm以上の大きなイオンを収容するサイトを移動するイオンと70pm位の中間サイズのサイトを移動するイオンで, 特定の温度で拡散速度が入れ替わり, 大きなイオンが高速度で移動できる温度範囲がある可能性がある. 又, これ等の拡散係数は, 拡散イオンの大きさの変化とともに, 74pmのCoと113pmのSrイオンに対応する大きさの付近に2つの極小ピークがあり, この2つのピークはメリライトの陽イオンのための3つの異なる大きさのサイトのうち前者が中間サイズの後者が大きなさいとに対応していて, この大きさに近いイオンの周囲では欠陥生成率が低く, 拡散係数が減少すると考えられる. 5.今後の計画. Gh中の拡散係数の測定及びイン石の元素, 同位体分布の測定.
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