研究概要 |
最近の赤外線源の観測データがIRAS観測から集大成され, 星周塵, 星間塵そして原始太陽系の前駆段階に相当する原始星の塵の赤外線スペクトルの全容が明らかになった. その結果, 銀河の塵は全て原子星塵に至まで〜10μmにブロードなピークをもち, 少なくとも太陽系の結晶性の岩石とは異なる構造を有することが示唆さた. 筆者らは, 星間塵を酸化度の低いいわゆるサブオキサイド(低酸化物)の混合物と推定し, 太陽系誕生初期に急激な変成を受け現在のケイ酸塩鉱物を形成したと考えている. その鉱物前駆物質の主要骨格を形成する物質としてSiO分子からの急冷固体に着目した. そのため, まずは安定なSiO分子流を製造すること, 引き続きそれからの急冷固体の諸物性の測定および構造のちがいによる分類を行うことが必要である. 本研究ではSiO_2+Siの当量混合物からSiOガス流が得られることを確定した. その急冷固体のX線回折測定からそれがSiO_2構造とは異なり非晶質の物質であり, 電子スピン共鳴測定から不完全結合の電子をもつ物質であることを明らかにし, 極めて反応性にとむ物質であることを示した. これらの急冷固体は基本的に2群に分類できた. 即ち, 密度の低いところで急冷固化したもの(Molecule Frost)およびガス密度の高いところで急冷固化したもの(Cluster Frast)がある. それらの赤外線スペクトルのなかで, 星周塵の〜10μmブロードピークと低温の基板上で析出したCluster Frostとが良く似ていることを明らかにした. これらのSiO急冷固体は〜400°Cでその構造が変化しはじめ, H_2Oの共存下では〜200°Cで変化する. 今回の研究でサブオキサイドダストの主要骨格をなすSiO急冷固体の製造に成功し, それらが活性な物質であることを明らかにできた. 今後塵中に共存が推定されるFeO, MgOなどのサブオキサイドのSiO_2急冷固体への混入過程の検証およびそれら混合物の反応を明らかにしたい.
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