研究概要 |
1.高分子-高分子間の電荷移動相互作用:酸化還元基であるジヒドロニコチンアミドおよびニコチンアミドを含む高分子電解質を合成し, 電荷移動に及ぼす高分子集合体の効果を検討した. それぞれの低分子系と比較すると電荷移動相互作用の平衡定数は, 低分子-低分子<<低分子-高分子<高分子-高分子の順となっており, 高分子電解質錯体を形成するような条件では極めて安定なポテンシャル場が形成されていることが明らかとなった. 2.光学活性基を含む高分子電解質による基質の取り込み:静電的な基質の取り込みにおいては立体的な影響は殆ど観測されないが, 光学活性基を含む疎水性ミクロドメインが形成され, そこに基質が取り込まれるような条件ではある程度不斉確認が発現され, 基質のL体とD体の取り込みが制御されるしかし, この差は比較的小さいため, 疎水斉場が大量に生成されるような場合にはこの不斉認識はあまり認められなくなる. 3.両性高分子電解質が関与する高分子電解錯体のモルフォロジー:高分子集合体の微視的な環境を制御する重要な因子の一つとして巨視的なモルフォロジーがある. 両性高分子電解質は等電点以下ではポリアニオンと, 等電点以上でポリカチオンと錯体を形成するが, そのモルフォロジーは, 両性高分子電解質の組成, 溶液のpH, pH変化の方向, などにより, 沈澱, コアセルベート, ゲル, 沈澱物, 溶存状態と変化する.
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