研究概要 |
1.新しく4例のブルーム症候群(BS)患者および3例の保因者からリンパ芽球様細胞(LCL)が樹立でき, この内の一株BSFO5では20%が正常SCE80%がhighSCE(70/細胞以上)を示すheterogeneousな細胞集団から成ることが判明した. 正常SCEを示すBS細胞の由来と成因を明らかにするための材料として貴重な細胞株である. 寺岡らの方法で日本人BS患者由来BS2KAとユダヤ人患者由来GM3403CのDNAligase活性とその熱感受性を比較したところ, Lindahlらの報告の如く確かにGM3403CではDNAリガーゼエの活性は低下していたが, BS2KAでは活性低下は認められず, 熱感受性のみ亢進していた. 2.相補性A群色素性乾皮症LCLがS9mix存在下にヘテロサイクリックアミンTip-P-2の細胞致死作用に対し約4倍正常人対照細胞株より高感受性で, 同時に64オグアニン抵抗性(TGV)突然変異誘発作用に対してもほゞ4倍感受性が高いことが判明した. 相補性A群XP細胞は遠紫外光(UVC)の場合と同様に近紫外光(UVB)の細胞致死作用, 突然変異誘発作用にもC群XP, 正常人, XP保因者由来LCLと比較してより感受性が高く, 太陽光によっても極めて高率にTGV変異がA群XPLCLに誘発される可能性が示唆された. DNA鎖間架橋剤のDEB, MMCはファンコニ貧血(FA)由来LCLで細胞致死作用が殆んど見られない極低濃度範囲のみTGVを誘発した. 3.正常人由来TK6細胞の自発TGV10クローンのEcoRIdigestではHPRTcDNApiubeでサザーン・ブロットを行うと6クローンで何らかのバンド変化がみられたのに対し, 紫外線誘発TGV11クローンではバンドの変化を認めたものは無かった. 4.紫外線照射3.3T/cm^24回, TPA10ng/m24hv処理を行ったA群XP細胞XP7NIを5×10^7ヌードマウスに接種し, 1/5匹に造腫瘍性を認めたが, 非照射, 紫外線照射のみでは造腫瘍性が認められなかった.
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