研究概要 |
大腸菌の染色体には約3000の遺伝子が存在すると推定されているが, 現在までに遺伝地図が決定されたものはその約13である. また解析されていない遺伝子の多くは細胞分裂等の複雑な機構に関与しているもので, 本研究ではこれらの遺伝子を徹底的に解析し, 構造的・機能的連関を明らかにすることを目的としている. 細菌にはDNA複製機構とは独立したDNA分配機構が存在し, その機構はいくつかの遺伝子によって支配されていることがミニFプラスミド等の研究によって明らかになってきた. 小椋はミニFの分配に関与するプラスミド遺伝子および宿主遺伝子の変異を分離しその遺伝子の詳細な解析を進めている. 平賀は大腸菌染色体の分配も遺伝的に支配された機構により行われることを明らかにするため, 染色体分配が異常になった変異株を分離する新しい研究方法を開発し, 変異株の解析を進めている. 堀内はR6Kプラスミドの集結部位をクローン化し, 方向性のある終結配列を明らかにした. また大腸菌染色体からも同様な機能を持つDNA断片をクローン化し, 現在この配列に結合する蛋白の分離を進めている. 西村は多数の温度感受性変異株のコレクションとpLCプラスミドコレクションとの相補性テストにより, 細胞分裂に関与する全fts遺伝子群の染色体地図を作成した. 榊は霊長類ゲノムのL1配列およびヒトのトランスサイレチン遺伝子の詳細な研究を進めている. 本研究は計画通りに着々と進展しており, 今後の発展が期待される.
|