研究概要 |
直鎖状DNAをもつバクテリオファージM2およびφ29を用いて, プロティンプライミングDNA複製系を構成する蛋白質:DNAポリメラーゼ(pol)および末端蛋白質(TP)の構造と機能を明らかにすることを目的に以下の実験を行った. 1.M2TPおよびM2pol遺伝子のクローニング:TPおよびpolの遺伝子はM2ゲノムの制限酵素EcoRI断片中に位置しいるので, まずこのDNA断片をとり, さらに両遺伝子を含む, 出来るだけ短いDNA断片を得るため, HaeII, PvuI処理を行い, TP・polの両者を含む断片とpolのみを含む断片を調製した. これらを大腸菌プラスミドpKK223-3のtacプロモーター下流に挿入し, pIKM23-1, -2, -3, -4のキメラプラスミドを造成した. tacプロモーターを誘導後, 集菌, 溶菌し, 硫安沈澱により蛋白質粗画分を調製した. この画分はin vitroM2DNA複製系においてプロティンプライミング活性を示した. 現在, 各種クロマトグラフィを用いて活性画分の精製を行っている. 2.アフィディコリン(APH)高感受性株の分離:枯草菌ファージM2, φ29はAPH感受性であるが, その程度は真核細胞に比して低い. そこで高感受性変異株の分離を行い, その変異がDNA複製系を構成するどの蛋白質に生ずるかを検討した. その結果, M2のTP温度感受性株から新たに2株の高感受性株を分離出来た. この変異座は, ファージの相補実験からpol, TP以下のシストロンであることが示された. 現在ところ, 遺伝子T(DNA結合蛋白質をコードする)である可能が高いと考えられ, T遺伝子のクローニングを行っている. 本年度を通じて, 目的遺伝子のクローニングが進み, 部位特異的変異の導入の材料が整備された.
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