研究概要 |
大腸菌LE392株よりHU-1とHU-2の遺伝子(それぞれhupBとhupA)をクローニングし, それぞれのDNA塩基配列を決定した. hupBは2つのプロモーターを, hupAは1つのプロモーターをもつことが, in vitro系での転写実験とin vivo系での転写実験によって確認された. hupBはGTGで, hupAはATGで開始されるコード領域を持ち, 翻訳終結コドンはいずれもTAAであった. 翻訳開始コドンの上流には7塩基(hupB)と6塩基(hupA)からなるリボゾーム結合配列(SDseguence)が認められた. hupBとhupAは大腸菌染色体上のそれぞれ10分と90分の位置に座位することが判明した. これらの遺伝学的な知見にもとづいて, 変異株の作成を試み, 現在複数の大腸菌株についてhup欠失変異株が分離されている. hupBはクロラムフェニュール耐性遺伝子DNAを挿入することによってHU-1コード領域を分断欠失させ, hupAにはカナマイシン耐性遺伝子を挿入させてHU-2欠失株を構築した. hupBとhupAの両遺伝子の欠失株も分離された. このような株では, 種々の表現形質に変化が認められ, Muファージなどは増殖することができないことが観察された. 現在, 他にもHU欠失によって増殖が不可能になったプラスミドなどが検出されており, これらを用いたHU-DNA相互作用の解析が可能であると考えされている. 大腸菌はhupBとhupAの両遺伝子の欠失によって比較的低温では増殖できなくなり, いわゆるcold sensitvityの性質に変わっていることが認められた. それとともに, 細胞がsnakig状態になることが認められた.
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