研究分担者 |
清水 祥一 名古屋大学, 農学部, 教授 (00025842)
大野 雅二 東京大学, 薬学部, 教授 (00111550)
谷沢 和隆 北海道大学, 薬学部, 助教授 (90001049)
永井 史郎 広島大学, 工学部, 教授 (70013307)
林 力丸 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (90027186)
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研究概要 |
本研究では, 微生物酵素を用いる物質の合成, 変換法を画期的に発展させるべく, 各種酵素が人為的制御条件下で発現する合成活性, 非天然合成化合物に対して示す変換活性, あるいはアミノ酸・ヌクレオチド, ビタミンなどの代謝に関与する多機能的作用などを解析するとともに, それらの酵素の力価増大を図ることによって種々の有用物質の工業的生産方式の基礎を確立する. さらにキラルな有機化合物を創り出す微妙な酵素機能を精密合成法と組合わせた独創的生産分野を開拓することを目的とする. 本年度の研究実績は以下の通りである. (1)微生物酵素シスタチオニンj-リアーゼとシスタチオニンj-シスターゼを用いるL-シスタチオニンの酵素的合成のための反応条件を確した. (2)好熱菌の耐熱性アラニン脱水素酵素遺伝子を大腸菌にクローニングし, 本酵素を大腸菌より単一に精製した. また本酵素タンパクの一次構造を決定した. (3)酵母由来カルボキシペプダーゼYおよびかび由来カルボキシペプダーゼPを用いる縮合反応の最適反応条件を確立した. (4)微生物リパーゼによる油脂のグリセロリシス反応の最適化および連続反応条件ならびに微生物ホスホリバーゼDによるホスファチジルエタノールアミンの生産条件を確立した. (5)食用系状菌の変異株の新濃縮法を見いだすとともに各種食用系状菌のj-グルタミルトランスペプチダーゼの性質を究明した. (6)メタン生成細菌の菌体を固定床バイオリアクターに保持してメタノールを炭素源としたビタミンB-12の生産条件を確立した. (7)カルバペネム抗生物質およびプロスタサイクリンなどの不斉炭素を有するシントンを, エステラーゼを用いて創り出した. (8)酵母の還元力およびリバーゼを利用して光学活性生物活性物質を調製した. (9)キレート形成に基づくタンパク質の修飾法を開発し, サリチルアルデヒドを導入した牛血清アルブミンとリシンをリガンドとする固定化担体との相互作用を究明した.
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