研究分担者 |
吉田 賢右 東京工業大学, 理学部, 助教授 (90049073)
山中 健生 東京工業大学, 理学部, 教授 (40028113)
土屋 友房 岡山大学, 薬学部, 教授 (80012673)
徳田 元 千葉大学, 薬学部, 助手 (40125943)
今栄 康雄 名古屋大学, 理学部, 助教授 (70022712)
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研究概要 |
異常に極端な環境に生存する生物では, 自身の環境に適応/進化できたか否かでその種の存続の可否が決まったと考えられる. この研究では, これらの異常環境に生息する(微)生物が工夫/改変して持つ独特のエネルギー転換系の構造と作動機作を解明することと, これを通じて常環境のエネルギー転換系についての理解を深めることを目的とする. 本年度研究結果抜枠:高度好塩性古細菌ハロバクテリアで, そのH+駆動型ATP合成酵素が従来全ての好気性生物の酵素として普遍的であると考えられていたF_0F_1型と異なって, 分子量32万, α_2β_2というサブユニット構成をもつ触媒部位(ATPアーゼ)を含んでいることが示された. さらにこのATPアーゼの抗体は, 他の古細菌のATPアーゼおよび植物液胞のアニオン感受性H^+ATPアーゼと強い交叉反応をしたが, F_1ATPアーゼとの反応は非常に弱かった. これにより, H^+ATPアーゼ/ATP合成酵素の全体像/進化について考察する新しい緒が得られた. 好酸好熱性古細菌スルホロブスからもATPアーゼが単離され, この酵素の抗体はハロバクテリアのATPアーゼともFiATPアーゼとも交叉反応をした. このことも, H^+ATPアーゼ研究に新展開を予期させる. 好酸性鉄酸化細菌でチトロクロムc-552と同酸化還元酵素が単離同定され, この細菌の特異な電子伝達系の様相が明らかになりつつある. 海洋細菌ではNa^+排出型呼吸鎖の普遍性を示唆する結果が得られ, 腸炎ビブリオではNa^+駆動型ATPアーゼの存在が示唆された. 好アルカリ性菌のNa^+駆動型ブ 毛モーターでは, 特異的阻害剤としてアミロライドが見出され, モーター機構の解明に新しい緒が見出された. 本年度の研究は極めて順調に進捗し, また新しい展開が期待される局面を迎えていると考えられる. 相互の連携を強めて, なお一層の相乗的な成果増大を計る.
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