研究概要 |
Na^+ポンプのα鎖のCys964とLys501残基にそれぞれN-〔P-(2-benzimidazalyl)phenyl〕maleumide(BIPM)とFluorescein-5'isothiocyanate(FITC)を導入した標品を用いて, 酵素の形成するリン酸化中間体(EP)の反応性とEP形成に伴う, ケイ光強度変化を前定常状態及び定常状態で測定し以下の結果を得た. 1.FITC導入によりADP結合能を失った標品でもacetyl phosphateによりEPを形成する. 高濃度Na^+存在下で形成されたEPはFITC未処理標品がATP又はAcetyl phosphate存在下で形成するATP感受性EP(E^<11>P)と同様のNa^<+1>結合酵素(NaE_1)に比し低いケイ光強度を示したが, ADP感受性を示さずしかしacetate感受性は保持していた. このacetate感受性のE_1P形成後初めてFITC残基のケイ光の減少が観察された. これらの結果はE_1PにFITCのケイ光強度で区別出来る少なくとも2種類の分子形態の異なったE_1Pの存在する事を示している. 2.Acetyl phosphatcによってNaE_1から連続的に生じる. 3.E_1P, E_2P(K^+感受性リン酸化酵素)及びKE_2形成に伴うBIPM残基及びFITC残基の相対的ケイ光強度変化から, これら中間体の形成に伴いCys964とLys-501残基間の距離が近ずき再び遠ざかる事が示された. この動きの引き金はMg^<+2>, Na^+及びacetyl plosphateのNa^+ポンプの結合である事も示唆された. 今後, 両残基間の距離をケイ光エネルギー移動を用いて決定する予定である.
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