研究概要 |
1.好熱菌PS3のチトクロム酸化酵素のサブユニットIとII遺伝子の塩基配列を決定した. サブユニットIのアミノ酸配列はよく保存されているが, とりわけ, それぞれ2つずつのHis-を含む疎水性セグメントVI, VII, Xの保存性はよかった. ここに2つのヘムaとCu_Bの結合部位があると思われる. それ以外にVIIIとXIの保存性も良く, ここに重要な機能があると推定された. 一方サブユニットIIはCu_Aの結合部位と思われるCAELCGPSHAL以外の保存性は良くなく, このサブユニットは単なる電子伝達体であるように思われた. 2.好熱菌PS3からbc_1複合体を精製することができた. 29-, 23-, 21-および14-kDaのサブユニットからなり, 2つのヘムbと1つのヘムcと1個のFe_2-S_2型の鉄硫黄中心を含んでいる. そして色々な発色固や酵素の性質は, この酵素がクロロプラストのb_Bf複合体と類似していることを示した. 3.リン脂質より作成した平面膜ではチトクロム酸化酵素の発生する膜電位付近(200mV以上)では膜が不安定になり, 測定できなくなったので, 平面膜を丈夫にするために重合性リン脂質ジ(2.4-オクタデカジエン)フォスファチジルコリン(DDPC)を用いて, 丈夫な平面膜を作る試みを行なっている. 4.オクチルグルコシド等の界面活性剤はミトコンドリアに少量加えると, 除共役剤として働くことが示された. これは呼吸速度, 特にstate4の呼吸速度が△ДH^+で制御されていることを示している. 5.IP_3, cGMP, cAMP, アルカリ性フォスファターゼ等の二次メッセンジャーはミトコンドリアの呼吸パターンに影響を及ぼさなかった. ミトコンドリア外膜の影響とも考えられるので, 可溶性酵素やリポソームに再構成した酵素についても行なう予定である.
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