研究概要 |
今年度はH, K-ATPaseとNa, K-ATPaseについて種々の細胞生物学的な研究を行った. 1. 胃H, K-ATPaseに関する研究 (1)H, K-ATPaseの精製, ブタ胃粘膜より本酵素の活性を保ったまま精製した. 胃ミクロゾーム画分を0.1%エマルゲン可溶化後, ポリエチレングリコールにより分画, ブルーセファローズCL6B素通り画分をアミノヘキシルセファロースに結合させ, 0.2MKCl_2容出した. SDS-PAGEで94Kdの単一バンドを示し, K-ATPaseおよびP-NPPase活性を部分的に保持し, 至過PHは7.0であった. 次に精製標品に対する家免抗体を作製し, その特異性をイムノブロット法で確認した. またブタ胃よりmRNAを調製し, 110-120Kd, 94Kd, 32Kd, 成分を検出した. (2)胃壁細胞内カルシウム分布とその変動 胃壁細胞よりの胃酸分泌節にCa^+か重要であることはよく知られている. 我々はオリンパスカラー画像解析システムを転用, 胃壁細胞内Ca^+の分布とその動態を解析することに成功した. 2.Na, K-ATPaseに関する研究 (1)分布 ラット腎Na, ATPaseを精製し, ポリクローン抗体を作製した(Akayama et al.,Cell Struct. Funct.11,259(1986). この抗体を用い, ラット膵外分泌腺細胞ならびに唾液腺細胞におけるNa.K-ATPaseの分布について調べ, 腺腔側細胞膜にも少量のNa.K-ATPaseが存在するという結果を得た. しかしその後我々の抗体には問題があることが判明した(交叉反応, あるいは非特異抗体の混在). そこでNa.K-ATPaseのαサブユニットを用い, α特異的抗体を調製し, αサブユニットの分布を調べた. この結果αサブユニットはこれらの細胞の底側面のみに存在することが明らかとなった. (2)βサブユニットの細胞内輸送遺伝子工学的手法を用いβサブユニット種々の人工変異分子を作製し, その細胞内輸送を解析中である.
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